2023.07.15
墓じまいの流れは?かかる費用・手続き・注意すべきポイントを解説
少子高齢化やライフスタイルの変化などを背景に、お墓の後継者不足が深刻化しています。そのような状況から、最近では墓じまいを検討している方が増えています。
ただし一方で、「墓じまいの進め方や流れがわからない」「墓じまいの費用はいくらなの?」などと、墓じまいに不安を抱いている方も少なくありません。
そこで本記事では、墓じまいの流れや費用、手続きなどを解説します。スムーズな墓じまいを実現したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
墓じまいとは
墓じまいとは、お墓の墓石を解体・撤去し、墓地を更地にして使用権を管理者に返還することです。
墓じまいでは、取り出したご遺骨をどのように供養するかを決める必要があります。
供養方法は、主に以下のとおりです。
・ご遺骨を別のお墓に移す(一般墓、永代供養墓、納骨堂など)
・手元供養
・散骨
放置されたお墓は、やがて無縁墓として強制撤去されてしまいます。そのため、「お墓の後継者がいない」「遠方で維持管理できない」といった事情の方などを中心に、墓じまいが選択されるようになりました。
改葬とは
墓じまいとセットで覚えておきたいのが「改葬」です。
改葬とは、お墓から取り出したご遺骨を、所定の手続きを経て、一般墓や永代供養墓など別のお墓に移すことです。わかりやすく言えば、お墓の引越しを意味します。
墓じまいは「お墓の撤去行為」のみを指しますが、改葬はお墓の撤去に加えて「別のお墓にご遺骨を改めて納める」という行為を含みます。
墓じまいが完了しても、供養自体は終わっていません。永代供養墓への改葬や散骨などを通じ、ご遺骨を適切に供養する必要があります。
墓じまいの流れ【8ステップ】
一般的な墓じまいの流れは、次のとおりです。
ステップ1.親族の同意を得る
ステップ2.お墓の現状を確認する
ステップ3.墓じまいを申し入れる
ステップ4.新たな納骨先を決める
ステップ5.墓じまいを依頼する
ステップ6.改葬許可証を受け取る
ステップ7.ご遺骨を取り出す
ステップ8.墓地を管理者に返還する
ひとつずつ見ていきましょう。
ステップ1.親族の同意を得る
最初にすべきことは、お墓やご遺骨に関係する親族から墓じまいの同意を得ることです。
お墓に対する価値観は多様化したものの、「お墓は代々受け継いでいくべきだ」という考えを持つ方も少なくありません。
親族の同意を得ないまま墓じまいを進めると、トラブルにつながる可能性があります。
トラブルを未然に防ぐためにも、墓じまいを検討した理由や墓じまい後の予定などを丁寧に説明し、親族全員に納得してもらいましょう。
なお、一般的には、関係者全員を集めてまとめて話すよりも、個別にじっくり話すほうが理解を得られやすいと言われています。
ステップ2.お墓の現状を確認する
次に、墓じまいを予定しているお墓の状態を確認します。チェック項目は、次の3点です。
①お墓に何柱のご遺骨が入っているか
②お墓の大きさや面積
③土葬のご遺体の有無
これらは、墓石の解体費用やご遺骨の改葬費用を把握するうえで必要な項目です。
墓じまいを円滑に進められるよう、あらかじめお墓の管理者や運営者などに確認しておきましょう。
ステップ3.墓じまいを申し入れる
親族の同意を得て、お墓の現状確認が済んだら、お墓の管理者に墓じまいを申し入れます。
墓じまいを申し入れるときは、伝え方に注意が必要です。説明不足が原因で、高額な離檀料を請求されたケースも存在します。
まずは「相談」という姿勢で墓じまいについて話し、墓じまいを検討した理由や事情を丁寧に伝えましょう。
参考:実家の「墓じまい」したいのに 寺が拒否、離檀料300万円請求も|朝日新聞
ステップ4.新たな納骨先を決める
次に、墓じまいで取り出したご遺骨をどのように供養するのかを決めます。
新たな納骨先としては、別の一般墓や永代供養墓への「改葬」、海や山への「散骨」などが考えられます。
「お墓の後継者がいない」「遠方でお墓参りできない」という事情の方は、お墓を持たない散骨や、永代供養墓への改葬がおすすめです。
ただし、散骨は近隣住民とのトラブルや法律違反などのリスクがあるため、個人で行わず、信頼と実績を備えた業者に依頼するよう心がけましょう。
ステップ5.墓じまいを依頼する
墓じまいでは、墓石の撤去・解体や、墓地の整地など原状回復をしたうえで、お墓の使用権を管理者に返還する必要があります。しかし、これらの原状回復を個人で行うのは大変です。
スムーズな墓じまいを実現したい場合は、専門業者に相談がおすすめです。経験豊富な業者なら費用の相場、話し方、手順などわかりやすく説明してくれます。
ステップ6.改葬許可証を受け取る
ご遺骨を別のお墓に移す場合には「改葬許可証」が必要です。改葬許可証は、現在お墓のある場所の自治体で申請し、発行してもらいます。
一般的に、申請には以下の書類が必要です。
①自治体窓口から入手した「改葬許可申請書」
②現在のお墓の管理者が発行する「埋葬証明書」
③新しいお墓の管理者が発行する「受入証明書」
詳しくは後述の「墓じまいの必要書類と行政手続きの流れ【6ステップ】」で解説します。
ステップ7.ご遺骨を取り出す
お墓を閉じてご遺骨を取り出すときは、「魂抜き(閉眼供養)」を行います。「魂抜き(閉眼供養)」とは、お墓に宿っているご先祖様や故人の魂を抜き取るための儀式です。
閉眼供養を無事に終えたら、納骨室(カロート)からご遺骨を取り出します。
ステップ8.墓地を管理者に返還する
ご遺骨を取り出し、石材店や代行業者によるお墓の原状回復工事を終えたら、その区画の使用権をお墓の管理者に返還します。
もともとご遺骨が納められていたお墓は、寺院や霊園などの管理者から区画を借りているものであり、所有権を得ていたわけではありません。
なお、別の一般墓や永代供養墓に改葬する場合は、僧侶に依頼し、新たな納骨先で「魂入れ(開眼供養)」を行います。「魂入れ(開眼供養)」とは、新しいお墓にご先祖様や故人の魂を入れるための儀式です。
これら一連の手続きが終われば、墓じまいは終了です。
墓じまいの必要書類と行政手続きの流れ【6ステップ】
墓じまいには自治体の許可が必要です。自治体は、許可を証明する書類として「改葬許可証」を発行しています。
「改葬許可証」の発行にあたっては、複数の書類を用意し、行政手続きを行う必要があります。
一般的な墓じまいの行政手続きの流れは、次のとおりです。
ステップ1.改葬許可申請書の入手と記入
ステップ2.埋葬証明書の取得
ステップ3.墓地名義人の承諾書の取得
ステップ4.遺骨の受入証明書の入手
ステップ5.自治体の役所へ必要書類の提出
ステップ6.改葬許可証の受領
ひとつずつ見ていきましょう。
ステップ1.改葬許可申請書の入手と記入
お墓の撤去には、お墓を管轄する自治体からの許可が必要です。
自治体で「改葬許可申請書」を入手し、必要事項を記入します。なお、遺骨の数(柱)1つにつき申請書1枚が必要です。
自治体によっては、ホームページから申請書をダウンロードできます。管轄の自治体ホームページで確認するか、窓口に問い合わせてみましょう。
ステップ2.埋葬証明書の取得
「改葬許可申請書」の添付書類として、お墓にご遺骨が埋葬されていることを証明する書類である「埋葬証明書」を取得します。
自治体によっては、「改葬許可申請書」と「埋葬証明書」がセットになっているケースもあります。その場合、書類にお墓の管理者の署名と捺印を求められることがあるため、あらかじめ申請書の様式を確認しましょう。
参考:改葬許可申請書|中野区
ステップ3.墓地名義人の承諾書の取得
現在のお墓を維持管理している人と、「改葬許可申請書」の申請者が異なる場合のみ、墓地名義人から「承諾書」を得る必要があります。
「承諾書」は、自治体窓口で入手するか、ホームページからのダウンロードが可能です。
ステップ4.遺骨の受入証明書の入手
新たな納骨先(改葬先)から、ご遺骨の受け入れを承諾している証明書類として「受入証明書」を入手します。
取り出したご遺骨の受け入れ先を客観的に証明できる書類がなければ、自治体から改葬許可を得られません。
なお、手元供養のように改葬をともなわない場合は「受入証明書」が発行されないため、あらかじめ自治体窓口に相談しましょう。
ステップ5.自治体の役所に必要書類の提出
「埋葬証明書」と「受入証明書」が揃ったら、必要事項を記入した「改葬許可申請書」とあわせて自治体窓口に提出します。
自治体によっては、申請者の認印や追加書類などを求められることもあります。スムーズに手続きを済ませるためにも、事前に自治体窓口やホームページで確認しておくと安心です。
ステップ6.改葬許可証の受領
「改葬許可申請書」を自治体へ提出し、内容に問題がなければ「改葬許可証」が発行されます。これで、墓じまいの準備は完了です。
「改葬許可証」の発行手数料に関しては、無料としている自治体もありますが、一般的には数百円〜1,500円程度かかります。
墓じまいの費用
条件により変動するものの、一般的に墓じまいの費用相場は30万円〜300万円と言われています。
墓石の撤去だけであれば、平均30万円程度です。ただし墓じまいでは、お墓の原状回復や行政手続き、改葬なども行います。
ここからは、墓じまいにかかる費用を内訳ごとに解説していきます。内訳は次のとおりです。
・墓石の撤去費用
・閉眼供養のお布施代
・離檀料
・行政手続き費用
・新たな納骨先を用意する費用
・開眼供養のお布施代
ひとつずつ見ていきましょう。
>>墓じまいの費用相場については、こちらの記事で詳しく解説しています
墓石の撤去費用
墓石の撤去では、墓石の解体・撤去、墓地区画の整地作業などに対する費用が発生します。墓石の撤去費用の相場は、1㎡あたり約10万円です。
墓石の解体・撤去は石材店に依頼することが一般的です。ただし、なかには悪質な石材店も存在し、高額請求によるトラブルが発生するケースも見受けられます。費用相場と見積もり額が大きく乖離していないか、入念にチェックしましょう。
閉眼供養のお布施代
お墓からご遺骨を取り出すときは、お墓に宿っている故人の魂を抜き取るための儀式として「閉眼供養」を行う必要があります。
一般的に「閉眼供養」では、読経してくれた僧侶に対してお布施を渡します。寺院や地域によりさまざまですが、お布施代の相場は3万円〜5万円です。
離檀料
寺院が管理するお墓でのみ必要になる場合があるのが、離檀料です。離檀とは、檀家を辞めることを意味します。
寺院から請求してくるケースは少ないものの、なかには数百万円という高額な離檀料を請求されたケースもあります。
スムーズな離檀を図るうえでも、あらかじめ親族や墓じまい代行業者に相談し、離檀料の相場を調べておきましょう。高額請求をされて話がまとまらない場合は、弁護士や自治体窓口へ相談することをおすすめします。
行政手続き費用
自治体やお墓の管理者などから「改葬許可証」や「埋葬証明書」などの必要書類を交付してもらうときに、発行手数料が発生します。費用相場は数百円〜1,500円程度です。
新たな納骨先を用意する費用
一般的に、新たな納骨先を用意する費用の相場は、5万円〜250万円と言われています。金額の幅が大きい理由は、供養方法によって費用相場に差があるからです。
供養方法それぞれの費用相場としては、散骨が5万円〜70万円、永代供養墓が5万円〜150万円、一般墓が80万円〜250万円とされています。
費用面も重要ですが、ご先祖様や故人の遺志、親族全員の納得が得られる供養方法を選ぼうとする意識が大切です。
開眼供養のお布施代
ご遺骨を新しいお墓に納める場合、僧侶を招き、お墓に故人の魂を入れるための儀式として「開眼供養」を行います。
「開眼供養」では、読経をしてくれた僧侶に対してお布施を渡します。閉眼供養同様、寺院や地域ごとに異なりますが、お布施代の相場は3万円〜10万円です。
代行業者に依頼した場合も墓じまいの流れは同じ
墓じまいは、やるべきことや手続きが多く、個人で行うにはとても負担が大きいものです。
また、人生で何度も経験するものではないため、墓じまいの知識や経験が少なくても不思議ではありません。
そのため、トラブルを未然に防ぎ、墓じまいを円滑に進めるためにも、信頼と実績のある代行業者へ依頼することをおすすめします。
代行業者なら、墓じまい全体のサポートやアドバイス、各家庭の事情に最適な供養方法やお墓を提案してくれます。
墓じまいの流れと手続きで注意すべきポイント
トラブルを未然に防ぎ、墓じまいを円滑に進めるうえで、いくつか覚えておきたい注意点があります。
注意すべきポイントは、次の5つです。
・改葬許可申請書は自分で記入する
・墓じまいを無視すると無縁墓として撤去される
・墓石撤去工事完了前に行政手続きを済ませる
・墓石撤去費用の見積もり内容をしっかりと確認する
・トラブルが心配なら代行業者へ依頼する
ひとつずつ見ていきましょう。
改葬許可申請書は自分で記入する
自治体の「改葬許可証」発行に必要な「改葬許可申請書」は、原則として申請者本人が記載しなければなりません。
委任状があれば代理申請も可能ですが、申請直前に慌てないよう、事前に書類に目を通しておきましょう。
墓じまいを無視すると無縁墓として撤去される
墓じまいせずにお墓を放置すると、無縁墓として強制撤去される恐れがあるため、注意が必要です。
強制撤去にともない取り出されたご遺骨は合祀され、二度と取り出せなくなります。墓じまいは無視したり放置したりせずに、親族や代行業者などの協力を得ながら、適切なタイミングで行いましょう。
>>墓じまいを無視したことで起こるトラブルやその対処法などについては、こちらで詳しく解説しています
墓石撤去工事完了前に行政手続きを済ませる
石材店による墓石撤去工事が終わると、取り出したご遺骨は改葬先に移送するか、自分で引き取るのが一般的です。
工事が完了しても、改葬先が決まっていないと行政手続きを進められません。そのため、工事完了前に行政手続きを済ませておくことが理想的です。
墓石撤去工事日の1か月ほど前から、自治体窓口で行政手続きを始めるなど、時間に余裕を持たせたスケジュールを組みましょう。
墓石撤去費用の見積もり内容をしっかりと確認する
墓じまいでは、石材店との間で高額請求トラブルが起こることも少なくありません。
石材店を選ぶときは見積もり内容を把握し、追加請求などがないかしっかり確認をしましょう。
トラブルが心配なら代行業者へ依頼する
墓じまいでは、寺院や石材店との高額請求トラブルや、親族間のトラブルなどが起こる可能性を否定できません。
そういった墓じまいにまつわるトラブルが心配な方は、経験豊富な代行業者に依頼しましょう。事情にあわせて、最適な供養方法の紹介、寺院との交渉、信頼できる石材店による撤去工事などをトータルサポートしてもらえます。
まとめ
本記事では、墓じまいの流れや費用、手続きや注意すべきポイントなどを解説しました。
墓じまいでは、親族との話し合いから墓地の返還まで、8つのステップを着実に進めていく必要があります。親族だけでなく、寺院や行政とのやり取りも多いため、自力で全てやろうと考えると大変です。
トラブルを防ぎ、円滑に墓じまいや故人の供養を行うためには、信頼と実績のあるプロの墓じまい代行業者に依頼するのがおすすめです。
「お墓の引っ越し&墓じまいくん」は、東証プライム上場・株式会社鎌倉新書のグループ会社である株式会社ハウスボートクラブが運営する、お墓の引っ越し・墓じまい専門サービスです。
「墓じまいで何をすればいいかわからない」といった場合でも、ご安心ください。お客様の事情に合わせて、最適な改葬先や供養方法をご提案し、あらゆる形の墓じまいをトータルサポートします。墓じまいをご検討中の方は、まずは気軽にお問い合わせください。
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