2023.11.25

コラム

墓じまいで失敗しない石材店選びのポイント|費用相場や流れも紹介

近年、「お墓の後継者がいない」「お墓が遠方にある」といった理由で墓じまいを検討するご家庭が増えています。

墓じまいでは、墓石の撤去を専門の石材店に依頼することが一般的です。しかし、費用相場は地域や施工方法などによって大きく異なります。また、撤去した墓石を不法投棄するような悪徳業者も存在するため、石材店の見極めが重要です。

そこで本記事では、墓じまいで失敗しない石材店選びのポイント、墓じまいの費用相場や流れを紹介します。

墓じまいとは

墓じまいとは、お墓の墓石を解体・撤去し、墓地を更地にして使用権を管理者に返還することです。

墓じまいでは、取り出したご遺骨をどのように供養するのか決める必要があります。

供養方法は、主に以下のとおりです。

・ご遺骨を別のお墓に移す(一般墓、永代供養墓、納骨堂など)
・手元供養
・散骨

手入れされず放置されたお墓は、やがて無縁墓として強制撤去される可能性があります。そのため、「お墓の後継者がいない」「遠方に住んでいて維持管理できない」といった事情を持つ人たちを中心に、墓じまいが選択されるようになりました。

改葬とは

墓じまいとセットで覚えておきたいのが「改葬」です。

改葬とは、お墓から取り出したご遺骨を、所定の手続きを経て、一般墓や永代供養墓など別のお墓に移すことです。簡潔に言えば、お墓の引越しを意味します。

墓じまいは「お墓の撤去行為」のみを指しますが、改葬はお墓の撤去に加えて「別のお墓にご遺骨を改めて納める」という行為を含みます。

墓じまいが完了しても、供養自体は終わっていません。永代供養墓への改葬や散骨などを通じ、ご遺骨を適切に供養する必要があります。

墓じまいの費用

さまざまな条件により変動しますが、一般的に墓じまいの費用相場は30万円〜300万円です。

墓石の撤去だけであれば、平均30万円程度です。ただし墓じまいでは、お墓の原状回復や行政手続き、改葬なども生じます。

墓じまいにかかる費用の内訳は、次のとおりです。

・墓石の撤去費用
・閉眼供養のお布施代
・離檀料
・行政手続き費用
・新たな納骨先を用意する費用
・開眼供養のお布施代

ひとつずつ見ていきましょう。

墓石の撤去費用

墓石の撤去では、墓石の解体・撤去、墓地区画の整地作業などに対する費用が発生します。墓石の撤去費用の相場は、1㎡あたり約10万円です。

ただし、地域や施工方法によって費用は変動するため、詳しくは依頼先の石材店に確認しましょう。

閉眼供養のお布施代

お墓からご遺骨を取り出すときは、お墓に宿っている故人の魂を抜き取るための儀式として「閉眼供養」を行う必要があります。

一般的に「閉眼供養」では、読経してくれた僧侶に対してお布施を渡します。寺院や地域によりさまざまですが、お布施代の相場は3万円〜5万円です。

離檀料

寺院が管理するお墓では、離檀料が発生する可能性があります。離檀とは、檀家を辞めることです。

寺院から請求してくるケースは少ないものの、なかには数百万円という高額な離檀料を請求されたケースもあります。

行政手続き費用

自治体やお墓の管理者などから「改葬許可証」や「埋葬証明書」などの必要書類を交付してもらうときに発生する費用です。

多くの場合は無料ですが、発行手数料がかかる自治体もあり、その費用は数百円程度です。

新たな納骨先を用意する費用

一般的に、新たな納骨先を用意する費用の相場は、5万円〜250万円と言われています。金額の幅が大きい理由は、供養方法によって費用相場に差があるからです。

供養方法それぞれの費用相場としては、散骨が5万円〜70万円、永代供養墓が5万円〜150万円、一般墓が80万円〜250万円とされています。

費用面も重要ですが、ご先祖様や故人の遺志、親族全員の納得が得られる供養方法を選ぶ意識が大切です。

開眼供養のお布施代

ご遺骨を新しいお墓に納める場合、僧侶を招き、お墓に故人の魂を入れるための儀式として「開眼供養」を行います。

「開眼供養」では、読経をしてくれた僧侶に対してお布施を渡します。閉眼供養同様、寺院や地域ごとに異なりますが、お布施代の相場は3万円〜10万円です。

墓じまいの流れ【8ステップ】

一般的な墓じまいの流れは、次のとおりです。

ステップ1.親族の同意を得る
ステップ2.お墓の現状を確認する
ステップ3.墓じまいを申し入れる
ステップ4.新たな納骨先を決める
ステップ5.墓じまいを依頼する
ステップ6.改葬許可証を受け取る
ステップ7.ご遺骨を取り出す
ステップ8.墓地を管理者に返還する

ひとつずつ見ていきましょう。

ステップ1.親族の同意を得る

最初にすべきことは、お墓やご遺骨に関係する親族から墓じまいの同意を得ることです。

親族の同意を得ないまま墓じまいを進めると、トラブルにつながる可能性があります。

トラブルを未然に防ぐためにも、墓じまいを検討した理由や墓じまい後の予定などを丁寧に説明し、親族全員に納得してもらいましょう。

ステップ2.お墓の現状を確認する

次に、墓じまいを予定しているお墓の状態を確認します。チェック項目は、次の3点です。

①お墓に何柱のご遺骨が入っているか
②お墓の大きさや面積
③土葬のご遺体の有無

これらは、墓石の解体費用やご遺骨の改葬費用を把握するうえで必要な項目です。

墓じまいを円滑に進められるよう、あらかじめお墓の管理者や運営者などに確認しておきましょう。

ステップ3.墓じまいを申し入れる

親族の同意を得てお墓の現状確認が済んだら、お墓の管理者に墓じまいを申し入れます。

墓じまいを申し入れるときは、伝え方に注意が必要です。説明不足が原因で、高額な離檀料を請求されたケースも存在します。

まずは「相談」という姿勢で墓じまいについて話す場を設け、墓じまいを検討した理由や事情を丁寧に伝えましょう。

参考:実家の「墓じまい」したいのに寺が拒否、離檀料300万円請求も|朝日新聞

ステップ4.新たな納骨先を決める

次に、墓じまいで取り出したご遺骨をどのように供養するのかを決めます。

新たな納骨先としては、別の一般墓や永代供養墓への「改葬」、海や山への「散骨」などが考えられます。

「お墓の後継者がいない」「遠方に住んでいてお墓参りできない」という事情の方は、お墓を持たない散骨や、永代供養墓への改葬がおすすめです。

ステップ5.墓じまいを依頼する

墓じまいでは、墓石の撤去・解体や、墓地の整地など原状回復をしたうえで、お墓の使用権を管理者に返還する必要があります。しかし、これらの原状回復を個人で行うのは大変です。

スムーズな墓じまいを実現したい場合は、専門業者の力を借りましょう。経験豊富な業者であれば、費用相場や手順などをわかりやすく説明してくれます。

ステップ6.改葬許可証を受け取る

ご遺骨を別のお墓に移す場合には「改葬許可証」が必要です。改葬許可証は、現在お墓のある場所の自治体で申請し、発行してもらいます。

一般的に、申請には以下の書類が必要です。

①自治体窓口から入手した「改葬許可申請書」
②現在のお墓の管理者が発行する「埋葬証明書」
③新しいお墓の管理者が発行する「受入証明書」

入手できる窓口がそれぞれ異なるため、注意しましょう。

ステップ7.ご遺骨を取り出す

お墓を閉じてご遺骨を取り出すときは、「魂抜き(閉眼供養)」を行います。「魂抜き(閉眼供養)」とは、お墓に宿っているご先祖様や故人の魂を抜き取るための儀式です。

閉眼供養を無事に終えたら、納骨室(カロート)からご遺骨を取り出します。

ステップ8.墓地を管理者に返還する

ご遺骨を取り出し、石材店や代行業者によるお墓の原状回復工事を終えたら、その区画の使用権をお墓の管理者に返還します。

なお、別の一般墓や永代供養墓に改葬する場合は、僧侶に依頼し、新たな納骨先で「魂入れ(開眼供養)」を行います。「魂入れ(開眼供養)」とは、新しいお墓にご先祖様や故人の魂を入れるための儀式です。

これら一連の手続きが終われば、墓じまいは終了です。

⇛墓じまいの必要書類と行政手続きの流れについてはこちらの記事で詳しく解説しています

墓じまいと石材店の関係性

先述したとおり、墓じまいでは墓石を撤去する必要があり、その作業は専門の石材店に依頼する必要があります。

つまり石材店は、墓じまいにおいて多くの方が接点を持つことになる存在といえます。

指定石材店制度とは

一般的に、墓じまいでは石材店を自由に選べることが多いものの、寺院や民営霊園によっては指定石材店制度を採用しています。

指定石材店制度とは、墓地内における墓石の購入や建立を決められた石材店でしか行えない制度です。

寺院墓地の場合、寺院へお願いすれば他社への依頼が可能なケースもあります。ただし、寺院へのバックマージンを含めた高額な解体撤去費用を請求されるケースも存在します。また、ごく稀に民営霊園では他社で施工できず、高額な費用を請求されることもあるようです。

お墓のある寺院や民営霊園が指定石材店制度を採用している場合、石材店選びに制約があることを覚えておきましょう。

墓じまいで起こり得る石材店とのトラブル事例と解決策

墓じまいでは、墓石の解体撤去工事を石材店に依頼する必要があります。

石材店との間に起こりやすいトラブルは、主に以下の3つです。

・高額な撤去費用を請求される
・業者選びができない
・ずさんな工事や不法投棄をされる

トラブルの事例と解決策を見ていきましょう。

高額な撤去費用を請求される

墓じまいをめぐる石材店とのトラブルで多いのが、高額な撤去費用を請求されるというものです。

墓石の撤去費用の相場は1㎡あたり約10万円とされていますが、地域や施工方法によってさまざまであり、費用相場よりも高額な料金を請求されることもあります。

そのほか、寺院へのバックマージンを含めた高額な解体撤去費用を請求されるケースや、民営霊園の場合、他社での施工ができず高額な費用を請求されるケースが稀にあります。

「石材店に一度声をかけたため、断りづらくなり、高額な撤去費用を支払ってしまった」というケースも多く見受けられるため、事前に複数の石材店に見積もりを依頼し、比較検討することが大切です。

業者選びができない

寺院や民営霊園によっては、指定石材店制度を採用しています。

特に民営霊園では、霊園開発費のような負担金の関係で指定石材店を設けているケースが一般的です。指定石材店がある場合、複数の石材店の中から比較検討できない点に注意しましょう。

一方の寺院墓地では、指定石材店での施工は比較的少なく、自身で任意の石材店を選べるケースが多く見受けられます。

ずさんな工事や不法投棄をされる

安い石材店に墓じまいを依頼すると、工事が雑になったり、不法投棄されたりとずさんな工事対応をされることがあります。

そのため、石材店選びでは料金の安さだけでなく、信頼できる石材店を選ぶことが大切です。口コミやレビューを参考に、複数の石材店から見積もりを取得し、納得できる業者を選びましょう。

墓じまいで信頼できる石材店を選ぶためのポイント

墓じまいにおけるトラブルに巻き込まれないためにも、信頼できる石材店を選ぶことが大切です。

石材店選びのポイントは、以下の3つです。

・親身になって対応してくれる
・見積書を発行している
・必要な資格を保有している

ひとつずつ見ていきましょう。

親身になって対応してくれる

石材店のスタッフの対応は、信頼度を推し量る重要なポイントです。

「相談に丁寧に応えてくれる」「こちらの要望や意向を汲み取り、提案もしてくれる」など、対応が丁寧な石材店を選びましょう。

見積書を発行している

墓じまいの費用は、墓石の撤去費用、遺骨の運搬費用、改葬先の費用など、さまざまです。そのため、墓じまいを業者に依頼する際は、工事費用の内訳をしっかり確認しておきましょう。

石材店から見積書や契約書といった書類を受け取っておけば、後々のトラブル防止にもつながります。

必要な資格を保有している

墓じまいでお墓の撤去・解体をするためには、本来「産業廃棄物収集運搬業者」の認可が必要です。

悪徳業者や資格を保有しない無許可業者に依頼すると、墓石が不法投棄される恐れがあるため、信頼できる石材店選びのポイントとして押さえておきましょう。

墓じまいで石材店にお礼は必要?

従来は石材店にお礼や寸志を渡すことが一般的でしたが、近年は渡さないケースも多く見受けられます。

工事費用に寸志が入っている場合、別途お礼を用意して渡す必要はありません。二重払いにならないよう、工事の内訳に「寸志」が含まれているかどうか確認しましょう。

墓じまいの石材店選びで困ったら代行業者に依頼しよう

墓じまいは、石材店だけでなく、さまざまな人とやり取りし、手続きを進めていきます。そのため、手続きの煩雑さ、相手方とのコミュニケーションやトラブルに悩む方も少なくありません。

そこでおすすめなのが、墓じまいの代行業者に依頼することです。代行業者に依頼することで、石材店選びから改葬先までをまとめてサポートしてもらえます。

代行業者が代行またはサポートする内容は、一般的に以下のとおりです。

・寺院との交渉
・墓石の解体や撤去の工事
・申請書類の確認および提出
・新しい納骨先までのご遺骨の移動
・改葬に必要な行政手続きのサポート
・新しい納骨先を選ぶときの資料提供
・墓じまい後の供養方法に関するアドバイス

代行業者に依頼すれば、墓じまいに伴う手続きの負担を大幅に軽減できます。

⇛墓じまい代行業者選びで大切なポイントについてはこちらの記事で詳しく解説しています

まとめ

本記事では、墓じまいで失敗しない石材店選びのポイント、墓じまいの費用相場や流れを解説しました。

墓じまいでは、墓石撤去を石材店に依頼する必要があります。高額請求や墓石の不法投棄といったトラブルに遭わずに墓じまいを終えられるよう、信頼できる石材店を見極めることが大切です。

また、墓じまいでは、石材店だけでなく、寺院や霊園の管理者、親族、改葬先の管理者など、さまざまな人とやり取りをする必要があります。そのため、手続きが煩雑で、負担が大きいと感じる方も珍しくありません。

そこでおすすめなのが、墓じまいをトータルサポートしてくれる代行業者の活用です。代行業者に依頼することで、石材店選びから改葬先までをまとめてサポートしてもらえます。

「お墓の引っ越し&墓じまいくん」は、東証プライム上場・株式会社鎌倉新書のグループ会社である株式会社ハウスボートクラブが運営する、お墓の引っ越し・墓じまい専門サービスです。

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