2023.05.12
墓じまいの補助金制度とは?費用を減らす方法と手続きの流れ
「お墓の後継者がいない」「お墓の維持管理が難しい」などの理由から、墓じまいを検討する方が増えています。
しかし、墓じまいの費用相場は30万円〜300万円と、決して安い金額とはいえません。金銭面の負担を軽減するためにも、墓じまいの費用はなるべく抑えたいものです。
そこで活用したいのが、墓じまいの補助金制度です。意外に知られていませんが、一部の自治体では、無縁墓対策として墓じまいに対する補助金やサポート制度を設けています。
本記事では、墓じまいの補助金制度や手続きの流れを解説します。墓じまいそのものの費用を減らす方法も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
墓じまいの補助金制度について
墓じまいでは、お墓の墓石撤去や墓地区画の更地工事、新しい納骨先への改葬などが発生します。トータル費用の相場は30万円〜300万円となっており、家計への負担は小さくありません。
そのような家計への負担を軽減し、安心して墓じまいを進められるように、自治体によっては墓じまいに対して補助金を交付しています。
また、補助金制度はないものの、墓じまいをサポートする制度を設けている自治体も存在します。
墓じまいの補助金が適用される範囲
墓じまいの補助金が適用されるのは、主に以下の費用です。
・墓石の解体や撤去
・墓地の更地や整地
・ご遺骨の移動と改葬
・お墓の使用料や管理料
自治体により適用される条件や補助額、補助率が異なります。自治体のルールに沿って申請するためにも、あらかじめお墓のある地域の自治体窓口に確認しましょう。
墓じまいの補助金がある自治体
2023年4月現在、墓じまいの補助金制度を設けている自治体は、次の3つです。
・千葉県市川市(市川市霊園)
・群馬県太田市(八王子山公園墓地)
・大阪府泉大津市(市営墓地)
実は、墓じまいの補助金や支援策を設けている自治体はそこまで多くありません。
ただし、将来的にほかの自治体も墓じまいの補助金制度を設ける可能性があります。墓じまいを検討中の方は、お墓のある自治体に一度問い合わせることをおすすめします。
千葉県市川市|市川市霊園
千葉県市川市の「市川市霊園一般墓地返還促進事業」では、お墓の撤去費用に対して補助金を交付しています。対象者および制度の概要は以下のとおりです。
■市川市霊園一般墓地返還促進事業の概要
対象者 | ・市川市一般墓地の利用者 ・事情により墓地管理が難しい、または後継ぎがいないため、墓地の無縁化が懸念される人 |
補助金額 | ・使用許可後、3年以内に墓地を更地で返還した場合:納付した墓地使用料の2分の1を返還 ・上記以外の場合:納付した墓地使用料の4分の1を返還 |
原状回復費用の助成 | ・事情により一般墓地を返還する場合:更地工事費の全額または一部を助成 ※限度額は墓地の種類や大きさにより変動 |
必要書類 | ・墓地返還届 ・助成金交付申請書 ・助成金交付請求書 ・墓地使用許可証 ・一般墓地使用料一部返還に関する書類 ・返還対象墓地の原状回復工事前後の写真 ・返還対象墓地の原状回復工事にかかる見積書および領収書 |
上記の必要書類のうち、一部書類は市川市の公式HPからダウンロード可能です。
対象者の方は、補助金の詳細確認とあわせて市川市の公式HPをチェックしてみましょう。
群馬県太田市|八王子山公園墓地
群馬県太田市には、「八王子山公園墓地墓石撤去費用助成金」が存在します。これは、対象者の墓じまい費用に対する助成金制度です。対象者および制度の概要は以下のとおりです。
■八王子山公園墓地墓石撤去費用助成金の概要
対象者 | 下記のいずれにも該当している人 ・2019年4月1日以降に八王子山公園墓地の返還届を提出し、墓石の撤去が完了した利用者 ・管理料の滞納がない者 |
助成金額 | ・墓石撤去にかかる費用として支払った額の総額または20万円のいずれか低いほう ※祭祀費用を除く |
必要書類 | ・助成金交付申請書 兼 口座振替依頼書 ・墓石撤去にかかる明細書 ・墓石撤去にかかる領収書 ・助成金振込先口座の通帳コピー |
同じ太田市内の墓地であっても「八王子山公園墓地」以外は助成対象ではないため、注意が必要です。
助成金の詳細や手続きに関しては、太田市の公式HPをご覧ください。
大阪府泉大津市|市営墓地
大阪府泉大津市では、市営墓地(公園墓地)に対する墓じまい費用を30%〜50%返還する制度を設けています。還付割合は、墓地の使用年数によって異なります。
■泉大津市の墓じまい補助金の概要
対象者 | 市営墓地(公園墓地)の墓地を返還する者 |
補助金額 | ・使用開始から15年未満:墓じまい費用の50% ・使用開始から15年以上〜30年未満:墓じまい費用の30% |
必要書類 | ・誓約書 ・銀行口座振込依頼書 ・碑石 ・形像類撤去申請書 ・公園墓地使用場所返還届書 |
なお、泉大津市は市営墓地とは別に組合墓地(春日墓地)を運営しています。組合墓地の場合は状況により還付の有無が変わるため、詳細は泉大津市にお問い合わせください。
墓じまいのサポート制度がある自治体【補助金以外】
補助金は交付されないものの、墓じまいを前向きに検討できるサポートや支援策を用意している自治体も存在します。
代表的な自治体は、次の2つです。
・岡山県玉野市(玉野市霊園)
・東京都(東京都立霊園)
それぞれの制度をみていきましょう。
岡山県玉野市|玉野市霊園
岡山県玉野市の玉野市霊園には「既納使用料の還付制度」があります。霊地(お墓)を返還した場合、その年度用に納めた使用料が一部還付される制度です。
還付の割合は、霊地の使用許可を受けた時期と、霊地の使用有無によって異なります。
■既納使用料の還付割合
霊地を使用しなかった場合 | 霊地を使用した場合 | |
平成28年(2016年)3月31日までに使用許可を受けた人 | 100% | 50% |
平成28年(2016年)4月1日以降に使用許可を受けた人 | 50% | 10% |
なお、玉野市霊園の使用者が霊地を返還する際は、以下の提出書類が必要です。
【提出書類】
・霊地返還届
・霊園使用許可証
・使用料還付請求書
・委任状(代理人による届出の場合)
また、玉野市霊園にご遺骨を納骨している場合は、返還手続きの前に改葬手続きが必要です。
詳細は玉野市の公式HPよりご確認ください。
東京都|東京都立霊園
東京都の都立霊園には「施設変更制度」があります。お墓の使用者が死亡してお墓の後継者がいない場合、使用料なしでご遺骨を合葬できる、という制度です。
「施設変更制度」では、現在使用中のお墓を東京都に返還し、ご遺骨を合葬埋蔵施設に共同埋蔵します。こうすることで、使用料や管理費をかけずに改葬できます。
改葬後のお墓は東京都が管理するため、維持管理面を心配する必要はありません。
ただし、現在使用中のお墓の撤去費用は全額自己負担です。募集時期や利用条件について詳しく知りたい方は、現在使用中の霊園窓口に相談してみましょう。
墓じまいに補助金が出る理由とは?
なぜ、自治体は墓じまいに対して補助金を交付するのでしょうか。理由のひとつに「無縁墓(無縁仏)対策」が挙げられます。
無縁墓とは、お墓の管理者が不在のまま放置されたお墓です。管理者が不在で、管理費の支払いもないお墓は、法律にしたがって管理者である寺院や霊園、自治体などが撤去します。
この撤去費用を負担するのは、管理者や自治体です。そうした事情から、自治体は無縁墓を減らすために、補助金やサポート制度などを設けています。
墓じまいの補助金を受けるための手続き
墓じまい後、自動的に補助金が交付されるわけではありません。墓じまいで補助金を受けるためには、自治体への申請が必要です。
一般的な手続きの流れは以下のとおりです。
・補助金や制度があることを自治体に確認する
・申請書を取得する
・必要書類を準備する
・窓口に申請する
補助金の交付条件や必要書類は自治体により異なります。事前に自治体の窓口やWebサイトなどで確認しておくと、安心して手続きを進められるでしょう。
墓じまいにかかる費用を抑える方法3選
ここからは、墓じまいの費用を抑える方法を3つ紹介します。
・信頼できる業者に依頼する
・事前に墓じまい業者に相談する
・散骨する
「自治体に補助金制度がない」「墓じまいの費用をさらに抑えたい」という方は、ぜひ参考にしてみてください。
信頼できる業者に依頼する
お墓の撤去費用は、墓石の解体・撤去と墓地の更地作業に対してかかります。
墓石のサイズが大きく、墓地の区画が広いほど高額になる傾向にあります。なかには寺院や霊園が提携する指定石材店しか利用できず、割高な工事費を請求されるケースもあるため注意が必要です。
墓じまいを検討中の方は、複数の墓じまい業者や石材店に見積もりを出し、費用やサービス内容を比較したうえで信頼できる業者を選びましょう。
事前に墓じまい業者に相談する
墓石の解体・撤去工事費と同様に注意したいのが、離檀(りだん)です。
離檀とは、檀家を辞めること、寺院との関係を断つことです。墓じまいにともない離檀すると、寺院からこれまでの謝礼として離檀料を求められることがあります。なかには数十万円〜数百万円もの高額な離檀料を請求されたケースも存在します。
工事費や離檀料に関連するお金のトラブルを回避するためにも、前もって墓じまい業者に墓石の撤去や離檀について相談しておくとよいでしょう。石材店や寺院への適切な申し入れ方を教えてもらえるため、心証を損なわず手続きを進められます。
散骨する
ご先祖様や故人を思えば、墓じまい後も新しいお墓を建てて供養したいものです。
しかし、墓じまいでは現在のお墓の撤去より、新しいお墓の用意に最もお金がかかります。墓石の撤去だけであれば10万円〜30万円ですが、一般墓に新しいお墓を建てると80万円〜250万円ほど必要です。
また、新しいお墓を建てると、お墓の維持管理や使用料の支払いが必要です。いずれも将来にわたる負担となります。
そこで、墓じまい後の供養方法としておすすめしたいのが散骨です。散骨の費用相場は5万円〜70万円と、ほかの供養方法と比べても安く設定されています。
ご遺骨はパウダー状に加工し、海や山などに散布するため、お墓が必要ありません。散骨は、費用や手間を抑えながら実施できるため、近年注目を集めている供養方法です。
墓じまい後は海洋散骨がおすすめ
一口に散骨といっても、ご遺骨を山に散布する「山林散骨」、宇宙空間に散布する「宇宙散骨」などさまざまです。なかでも、近年利用者の増えているのが「海洋散骨」です。
ここからは、墓じまい後の供養方法として海洋散骨がおすすめである理由を紹介していきます。
理由1.費用の負担が少ない
墓じまいの費用は、どの納骨先や供養・葬送方法を選ぶかによって大きく変わります。
一般的に選ばれている主な納骨先と費用相場は、以下のとおりです。
・永代供養墓:5万円〜150万円
・一般墓:80万円~250万円
・納骨堂:10万円〜150万円
・樹木葬:20万円〜80万円
・散骨:5万円〜70万円
海洋散骨なら費用を5万円〜40万円に抑えられるため、供養・葬送にかかる負担を軽減できます。
理由2.お墓の維持管理が不要である
一般墓や樹木葬などと異なり、海洋散骨ではご遺骨が手元に残りません。つまり、お墓を用意する必要がないため、お墓の維持管理から解放されます。
また、墓地や霊園に対する使用料や管理費などの支払いも発生しないため、手間と費用をかけることなく墓じまいを終えられます。
また、散骨は、ご遺骨の一部を残したまま実施可能です。手元供養を希望する親族がいる場合においても、一同納得のうえで供養できるでしょう。
理由3.お墓の後継者が不要である
海洋散骨では、ご遺骨をパウダー状に粉砕し海洋上に散布するため、お墓が必要ありません。お墓の維持管理から解放され、「誰が引き継ぐのか」「誰が維持管理や手入れをするのか」といった後継者トラブルを避けられます。
「お墓参りができなくなる」と反対する親族とは事前に話し合い、理解や合意を得ておきましょう。
まとめ
本記事では、墓じまいの補助金制度や手続きの流れ、墓じまいの費用を減らす方法を解説しました。
「墓じまいにかかるお金の負担を減らしたい」という方は、自治体に墓じまいの補助金制度があるのか確認してみましょう。
そして、墓じまい自体の費用を抑えたい方は、墓じまい後の供養方法として海洋散骨をご検討ください。海洋散骨はご遺骨を粉砕し海洋上で散布する、お墓のいらない供養方法です。将来的なお墓の維持管理や後継者問題を気にせずに、安心してご先祖様や故人をお見送りできます。
「お墓の引っ越し&墓じまいくん」は、東証プライム上場・株式会社鎌倉新書のグループ会社である株式会社ハウスボートクラブが運営する、お墓の引っ越し・墓じまい専門サービスです。
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【参考】
東京都霊園条例|東京都
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