2023.05.16

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墓じまいとは?一般的な進め方やトラブル対策などを詳しく解説

近年、「お墓が遠方にあるからお墓参りができない」「お墓の後継者がいない」といった理由から、墓じまいを検討する方が増えています。

しかし、墓じまいは何度も経験するものではないため、供養方法や納骨先などがわからず困っている方もいるのではないでしょうか

「お墓を管理しているのは自分だから」と相談や話し合いをせずに墓じまいを進めると、親族や寺院との間でトラブルに発展することがあります。故人やご先祖様を気持ちよく送り出すためにも、トラブルは避けたいものです。

そこで本記事では、墓じまいの一般的な進め方やトラブルの回避策を解説します。円滑に墓じまいを実施したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

墓じまいとは

近年、お墓の後継者不足やお墓不足、経済的負担の軽減などを理由に、墓じまいを選択する方が増えています。

墓じまいとは、お墓の墓石を解体・撤去し、墓地を更地にして使用権を管理者に返還することです

墓じまい後も、ご遺骨は何かしらの方法で供養する必要があるため、無闇に廃棄や放置をしてはいけません。供養方法としては、別の一般墓や永代供養墓などに移す「改葬」や、細かく砕いて海や山などに散布する「散骨」などが挙げられます。

墓じまいの一般的な進め方

先祖代々に渡り受け継いできたお墓を無縁墓にしないためには、お墓の管理や継承に不安を感じた時点で墓じまいを検討することが大切です

ここでは一般的な墓じまいの流れを確認していきましょう。

ステップ1:親族の同意を得る

最初にすべきことは、お墓の維持管理やご遺骨に関係する親族全員から墓じまいの同意を得ることです。

お墓に対する価値観は多様化し、今まで以上に故人の意思を尊重できるようになりました。しかし一方で、「お墓は代々受け継いでいくべきだ」という考えを持つ方も少なくありません。

親族の同意を得ずに墓じまいを進めると、トラブルにつながる可能性があります。トラブルを防ぐためにも、墓じまいする理由や墓じまい後の予定などを丁寧に説明し、一人ひとりに納得してもらいましょう

関係者全員を集めて話すよりも、個別にじっくりと話すほうが良い結果になる傾向があります。

ステップ2:お墓の現状を確認する

次に、墓じまいを予定しているお墓の状態を確認します。チェック項目は次の3点です。

①お墓に何柱のご遺骨が入っているか
②お墓の大きさや面積
③土葬のご遺体の有無

墓じまいを滞りなく進められるよう、あらかじめお墓の管理者や運営者などに確認しておきましょう。

ステップ3:墓じまいを申し入れる

親族からの同意を得てお墓の現状を確認できたら、霊園や寺院のお墓の管理者に墓じまいを申し入れます。

このとき、お墓の管理者には行政手続きに必要な「埋葬証明書」の発行や閉眼供養などを依頼します。埋葬証明書とは、お墓にご遺骨が埋葬または収蔵されている事実を証明する書類です。墓じまい後、新たな納骨先や散骨業者に提出を求められる可能性があるため、大切に保管しておきましょう。

なお、お墓の管理者に墓じまいを申し入れるときは、伝え方に注意が必要です。説明が不十分であったために、高額な離檀料を請求されたケースも存在します。

まずは「相談」という形で墓じまいについて話し、墓じまいを考えた理由や事情を丁寧に伝えるよう心がけましょう。

ステップ4:新たな納骨先を決める

墓じまいの後は、ご遺骨の供養方法を決める必要があります。新たな納骨先としては、別の一般墓や永代供養墓への「改葬」、海や山への「散骨」などが考えられます。

改葬とは、お墓に埋葬されているご遺骨やご遺体を別のお墓に移動させることです。いわゆる「お墓のお引越し」にあたります。改葬する場合は、新たな納骨先(改葬先)の管理者に「受入証明書」の発行を依頼します。

散骨する場合は、近隣住民とのトラブルや法律違反を引き起こさないように、信頼と実績を備えた業者に依頼するよう心がけましょう。

ステップ5:墓じまいを依頼する

墓じまいでは、お墓の使用権を管理者に返還する必要があります。しかし、墓石の撤去や解体、墓地の整地作業や更地工事を個人で行うのは大変です。

そのため、墓じまいは石材店や専門業者に代行依頼することをおすすめします。複数の業者から見積もりを取得し、費用やサービス内容などを比較したうえで代行業者を選びましょう。

ステップ6:改葬許可証を受け取る

ご遺骨を新しいお墓に移す場合は「改葬許可証」が必要です。改葬許可証は、現在お墓のある場所の自治体で申請します。

申請書を提出する際は、現在のお墓の管理者が発行する「埋葬証明書」と、新しいお墓の管理者が発行する「受入証明書」などの添付書類が必要です。

なお、公営霊園の場合は、墓所の返還手続きを別途行う必要があります。あらかじめ念頭に置いておきましょう。

ステップ7:ご遺骨を取り出す

お墓を建てるときは、法要として「魂入れ(開眼供養)」を行いますが、お墓を閉じてご遺骨を取り出すときは「魂抜き(閉眼供養)」を行う必要があります。

閉眼供養を無事に終えたら、納骨室(カロート)からご遺骨を取り出します

ステップ8:墓地を管理者に返還する

もともとご遺骨が納められていたお墓は、寺院や霊園などの管理者からその区画を借りているものです。

そのため、お墓の撤去・解体、墓地の整地・更地などといった原状回復工事を行い、その区画の使用権を管理者に返還する必要があります

別の一般墓や永代供養墓に移して改葬する場合は、僧侶に依頼して新たな納骨先で開眼供養を行います。これら一連の流れが終われば、墓じまいは終了です。

墓じまい後の供養方法

墓じまい後の供養方法としては、主に以下のようなものがあります。

・一般墓
・永代供養墓
・樹木葬
・納骨堂
・散骨

それぞれの供養方法にメリット・デメリットがあり、費用もさまざまです。ここからは個別に特徴を解説していきます。

一般墓

現在のお墓から取り出したご遺骨を、新しく建てたお墓に移す方法です。相場費用は80万円〜250万円で、年間管理費を別途支払う必要があります。

【メリット】
・お参りできる
・先祖代々を供養できる
・親族からの賛同を得やすい

【デメリット】
・費用が高い
・管理する必要がある
・後継者がいないと購入できない

永代供養墓

家族や親族に代わり、霊園や寺院などの墓地管理者がお墓の管理・供養を行う方法を永代供養墓と呼びます。相場費用は5万円〜150万円です。最初から合祀となる形式や、契約期間が過ぎてから別の方のご遺骨と合祀される形式があります。

【メリット】
・費用が安い
・維持管理の負担が少ない
・宗教や宗派を問わず利用できる

【デメリット】
・お墓を継承できない
・親族の理解を得にくい
・一度合祀されるとご遺骨を取り出せない

樹木葬

墓石の代わりに樹木を用いたり、納骨場所の周囲に草花を植えて土の中に埋葬する方法が樹木葬です。お墓参りの際は、目印となるシンボルツリー(樹木)に向かって手を合わせます。相場費用は20万円〜80万円です。

【メリット】
・費用が安い
・緑や草花が多く雰囲気が明るい
・永代供養であるため後継者は不要

【デメリット】
・ご遺骨の取り出しが難しい
・納骨人数が多いと費用が高くなる
・季節によって彩りや景色が変わる

納骨堂

ご遺骨や骨壷を専用スペースに納骨できる施設のことを、納骨堂と呼びます。納骨堂の相場費用は10万円〜150万円です。

【メリット】
・費用が安い
・天候に関係なくお墓参りできる
・掃除や維持管理の負担が少ない

【デメリット】
・お供え物に制限がある
・預けられるご遺骨の数に制限がある
・お墓参りの実感がわきにくい

散骨

ご遺骨を細かく粉骨して海や山などに散布する方法が散骨です。「故人と縁のある海に還してあげたい」「故人は自然が好きだった」という想いから、海にご遺骨を散布する海洋散骨を選ぶご家族が増えています。相場費用は5万円〜70万円です。

【メリット】
・費用が安い
・後継者が不要・維持管理の負担がない
・故人の希望や想いを叶えられる

【デメリット】
・親族からの賛同を得られないことがある

墓じまいでトラブルを回避するためのポイント4選

お墓は親族にとって大切な場所です。特別な想いを持つ方も多いため、墓じまいをめぐる親族間のトラブルも珍しくありません。

また、これまでお墓を管理してきた寺院や霊園などの管理者や、お墓の撤去工事を行う石材店と話がまとまらず、墓じまいを進められないといったトラブルも多く見受けられます。

ここからは、親族やお墓の管理者、石材店とのトラブルを回避し、円滑に墓じまいを行うためのポイントをチェックしていきましょう。

親族間で十分に話し合う

墓じまいでは、現在のお墓を解体・撤去する必要があります。そのため、お墓を壊すことやお参りできないことに納得できない親族がいた場合、強く反対される可能性も考えられます。かといって無断で進めてしまうのも、トラブルの原因となりかねません。

そうした事態を防ぐためにも、墓じまいの必要性や決断した理由を親族に伝え、十分に話し合うことが大切です。また、墓じまいの費用負担の割合をどうするのかも、事前に合意を得ておくと安心です。

墓じまい業者へ事前に相談する

次に注意したいのが、離檀(りだん)と墓石の解体・撤去工事費です。

離檀とは、檀家を辞めること、寺院との関係を断つことです。離檀すると、寺院からこれまでの謝礼として離檀料を求められることがあります。なかには数十万円〜数百万円もの高額な離檀料を請求されたケースも存在します。

墓石の解体・撤去工事費は、石材店によってさまざまです。離檀料と同様に、相場よりも高額な費用を請求されるケースがあります。

離檀料や工事費に関連するお金のトラブルを回避するためにも、前もって墓じまい業者に離檀や墓石の撤去について相談しておくとよいでしょう。寺院や石材店への適切な申し入れ方を教えてもらえるため、心証を損なわず手続きを進められます。

信頼のおける業者に依頼する

お墓の撤去費用は、墓石の解体・撤去と墓地の更地作業に対してかかります。

墓石のサイズが大きく、墓地の区画が広いほど高額になる傾向にあります。なかには寺院や霊園が提携する指定石材店しか利用できず、割高な工事費を請求されるケースもあるため注意が必要です。

墓じまいを検討中の方は、複数の墓じまい業者や石材店に見積もりを出し、費用やサービス内容を比較したうえで信頼できる業者を選びましょう。

プロに相談する

残念ながら、業者の中には手数料や利益を優先し、自分が得をするお墓を紹介する悪徳業者も存在します。気付かずに依頼すると、「高額な費用を請求された」「お墓の管理が大変になった」といったトラブルに発展するリスクもあるでしょう。

こうしたトラブルや将来の管理の手間が心配な場合は、散骨がおすすめです。特に最近では、墓じまい後に海洋散骨を選ぶ方が増えています。

海洋散骨ではご遺骨を細かく粉砕し、海洋上で散布します。ただし、散骨には細かなルールやマナーが存在するため、自由に海へ散骨できるわけではありません。

プロの散骨業者を探す場合は、厚生労働省の「散骨に関するガイドライン」の遵守や、日本海洋散骨協会の加盟事業者であるかを確認してみるとよいでしょう。

まとめ

本記事では、墓じまいの一般的な進め方やトラブルへの対策について解説してきました。

墓じまいでは、親族や寺院、石材店などとのトラブルも珍しくありません。トラブル回避のポイントは、関係者で事前によく話し合い、信頼と実績のあるプロの業者に依頼することです

墓じまい後の供養方法として、おすすめしたいのが海洋散骨です。海洋散骨はご遺骨を粉砕し海洋上で散布するため、お墓が必要ありません。お墓を管理する手間や費用がかからず、後継者も不要であることから、「新しい供養、墓じまいの形」として注目が集まっています。

「お墓の引っ越し&墓じまいくん」は、東証プライム上場・株式会社鎌倉新書のグループ会社である株式会社ハウスボートクラブが運営する、お墓の引っ越し・墓じまい専門サービスです。

墓じまいをご検討中の方は、まずはお気軽にお問い合わせください。


【参考記事】

散骨に関するガイドライン|厚生労働省

加盟事業者|日本海洋散骨協会

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