2024.10.20

コラム

墓じまいをすべきタイミングと避けたい時期について解説

「墓じまい」は、お墓を撤去し墓地の使用権を返還する行為ですが、そのタイミングに悩む方も多いのではないでしょうか。終活の一環として墓じまいを選択する人が増加する中、正確な知識を持つことが重要です。

本記事では、墓じまいの定義、適切な検討時期、最適な実施タイミングなどについて詳しく解説します。墓じまい後の遺骨の新たな供養先についても触れるので、ぜひ参考にしてください。

墓じまいとは?

墓じまいとは、お墓を撤去して更地にした上で、墓地の管理者に使用権を返還する一連の行為を指します。

墓じまいは自治体の許可など必要な手続きを経て行う必要があり、勝手に実施することはできません。

また、お墓から遺骨を取り出すことから、新しい供養先を決めることも墓じまいの重要な要素です。

墓じまいを検討すべきタイミング

墓じまいの検討を始める代表的な時期として、以下の4つが挙げられます。

・お盆、お彼岸
・年末年始、法事
・親や配偶者が亡くなったとき
・終活を始めるとき

それぞれについて解説します。

お盆・お彼岸

お盆やお彼岸は、お墓参りや法要を執り行う機会であり、お墓に関するさまざまな課題に直面しやすい時期です。

例えば、お墓へのアクセスが困難であったり管理が難しかったりする場合、今後の負担を軽減するために墓じまいを検討することが適切かもしれません。

年末年始・法事

年末年始や法事の際には、普段顔を合わせない家族や親族が集まるため、お墓のことについて話し合う機会が生まれることがあります。ご自身がお墓のことを考えていなくても、親族からの質問をきっかけにお墓の管理や今後の供養方法について話し合うこともあるでしょう。

その際、墓じまいという選択肢も検討されるかもしれません。そのタイミングが周囲の人たちの意見を聞く良い機会となります。

親・配偶者が亡くなったとき

自分の親や配偶者が亡くなった場合、納骨先を決めなければなりません。先祖代々のお墓がある場合は、そこに納骨することを最初に検討すると思いますが、遠方であったり、お墓の継承者がいなかったりするケースもあります。

お墓参りが難しかったり、今後の管理に不安があったりするケースにおいては、現在のお墓を墓じまいして、別の納骨先を検討する人も少なくありません。

また、葬儀には家族や親族が集まるため、お墓について相談する機会も設けられるでしょう。

終活を始めるとき

定年退職時や還暦を迎えたタイミングで、エンディングノートなどを用いて終活を始める人がいます。

相続、葬式、お墓などについて考えをまとめる過程で、墓じまいを検討する機会を持つことが可能です。終活のスタート時は、墓じまいを考える適切なタイミングの一つといえます。

墓じまいをするベストタイミングはある?

墓じまいに最適なタイミングや、しなければならない決まりやマナーはありません。それぞれの状況に応じて、自由に判断しましょう。

ただし、墓じまいを決断してから実際にお墓を解体するまでには、一定の時間がかかることを念頭に置く必要があります。

そのため、早めに親族やお寺に相談しなければなりません。時間を要する可能性を踏まえ、思い立ったタイミングで元気なうちに墓じまいの準備を始めましょう。

墓じまいをしやすいタイミング

墓じまいのタイミングに決まりはありませんが、一般的に以下の時期が推奨されています。お寺や専門業者と相談しながら、最適な日程を決めましょう。

1月中旬~3月上旬:正月と春彼岸を避けた時期です。ただし、積雪地域ではお墓が雪に埋もれてしまうため、この時期は避けましょう。

3月下旬~5月下旬:春彼岸明けから梅雨入り前までの期間です。北海道地方では梅雨がないため、お盆前までが適しています。

9月下旬~12月上旬:秋彼岸明けから年末前までの期間です。雪の多い地域は積雪期に入る前がよいでしょう。

墓じまいを避けたほうがよいタイミング

墓じまいを行う際に避けたほうがよい時期も存在します。以下の時期は避けることをおすすめします。

・お寺の繁忙期
・年末年始
・天候が不順な時期

それぞれについて解説します。

お寺の繁忙期

お盆やお彼岸など、お寺の繁忙期は避けるのがマナーです。

墓じまいでは、お墓を解体する前に「閉眼供養」を執り行い、僧侶に読経をしてもらいます。そのため、法要などで忙しい時期を避けて日程調整することをおすすめします。

年末年始

年末年始は多くの人がお墓参りに訪れる時期です。そのようなタイミングでお墓の解体を行うのは避けたほうがよいでしょう。

また、親族や知人が故人のお墓参りに来る可能性も考えられます。彼らに不快感を与えないためにも、年末年始は避けたほうが賢明です。

なお、墓じまい後には、新しい供養先を記載した挨拶状を親族や故人の知人に送ります。お墓参りシーズンに入る1週間前までに挨拶状が届くよう手配しましょう。

天候が不順な時期

天候が不順な時期は工事を進めにくいため、墓じまいは避けたほうがよいでしょう。

安全に工事を進めるために、雨の日は墓石工事を行わないのが基本です。墓石をクレーンで吊り下げる際、濡れていると滑り落ちる危険があるからです。

また、雪の多い地域では積雪期の工事もおすすめできません。墓地の除雪が必要な場合、除雪コストが発生するため、避けたほうが賢明です。

墓じまいの手順

墓じまいは、主に以下のような手順を踏みます。

・ステップ1:親族の同意を得る
・ステップ2:お墓の現状を確認する
・ステップ3:墓じまいを申し入れる
・ステップ4:新たな納骨先を決める
・ステップ5:墓じまいを依頼する
・ステップ6:改葬許可証を受け取る
・ステップ7:ご遺骨を取り出す
・ステップ8:墓地を管理者に返還する

全体の流れを知ることで、墓じまいを円滑に進められます。それぞれの手順を詳しく見ていきましょう。

ステップ1:親族の同意を得る

最初に、お墓の維持管理やご遺骨に関係する親族全員から墓じまいの同意を得ます。

お墓に対する価値観は多様化しているものの、墓じまいに抵抗感を抱く人も珍しくありません。そのため、墓じまいの理由や墓じまい後の予定などを丁寧に説明し、一人ひとりに納得してもらうことが大切です。

墓じまいはやり直しができません。トラブルを防ぐためにも、親族の同意を得てから墓じまいを始めましょう。

ステップ2:お墓の現状を確認する

次に、墓じまいを予定しているお墓の状態を確認します。チェック項目は次の3点です。

①お墓に入っているご遺骨の数(柱)
②お墓の大きさや面積
③土葬のご遺体の有無

改葬手続きでは、ご遺骨1柱につき1枚の書類が必要です。また、お墓の大きさや面積は、墓じまいにかかる費用の算出に影響します。墓じまいをスムーズに進めるために、各項目に関してお墓の管理者や運営者などに事前に確認しておきましょう。

ステップ3:墓じまいを申し入れる

お墓の状態を確認したら、お寺に墓じまいについて相談します。

墓じまいをするということは、お寺から離檀することを意味するため、報告ではなく相談という形を取ることが重要です。

いきなり墓じまいを告げると、許可されなかったり、高額な離檀料を請求されたりする可能性があります。そのため、墓じまいをする事情を丁寧に説明し、理解してもらえるように話を進めることが大切です。

なお、お墓がお寺ではなく公営や民営の霊園にある場合は、管理事務所に問い合わせて手続きを進めます。

ステップ4:新たな納骨先を決める

墓じまいをする場合、ご遺骨の供養方法を決める必要があります。主な供養方法としては、別の一般墓や永代供養墓への「改葬」、海へ散骨を行う「海洋散骨」などが挙げられます。

改葬する場合は、新たな納骨先(改葬先)の管理者に「受入証明書」の発行を依頼しましょう。「受入証明書」は、自治体から改葬許可を得るために必要な書類です。

散骨する場合は、近隣住民とのトラブルや法律違反を引き起こさないように、信頼と実績を備えた業者に依頼するよう心がけましょう。

ステップ5:墓じまいを依頼する

墓じまいの相談がまとまり、新たな供養先が決まったら、墓石の解体・撤去工事を行う業者を決めます。

お寺や霊園に指定業者がある場合は、紹介してもらうとスムーズです。自分で業者を探す際は、複数の業者から見積もりを取得し、比較することをおすすめします。

ステップ6:改葬許可証を受け取る

ご遺骨を新しいお墓に移す場合、現在お墓のある場所の自治体に「改葬許可証」を申請する必要があります。

申請書には、現在のお墓の管理者が発行する「埋葬証明書」と、新しいお墓の管理者が発行する「受入証明書」などを添付します。

公営霊園や市営墓地の場合は、墓所の返還手続きも別途必要になることを覚えておきましょう。返還手続きの必要書類は、自治体によって異なります。詳しくは自治体窓口に問い合わせてください。

ステップ7:ご遺骨を取り出す

埋葬されているご遺骨を取り出す前に、僧侶による閉眼供養を執り行わなければなりません。これは、お墓に宿っている故人の魂を抜き、墓石をただの石に戻す儀式です。

閉眼供養は、お檀家さんであれば、お世話になっている菩提寺に依頼します。菩提寺がない場合は、墓地管理者や墓じまいの施工業者に相談しましょう。閉眼供養を事前に行えるケースもあり、その場合は墓石の解体・撤去工事の前に済ませることが可能です。

ステップ8:墓地を管理者に返還する

お墓は、寺院や霊園などの管理者から借りている土地に建てられています。

そのため墓じまいでは、お墓の撤去・解体、墓地の整地・更地などの原状回復工事を行い、その区画の使用権を管理者に返還する必要があります。

専門知識や技術が必要な原状回復工事は、専門業者への依頼が一般的です。原状回復が不十分なまま返還するとトラブルになる恐れがあるため、業者選びは慎重に行いましょう。

別の一般墓や永代供養墓に移して改葬する場合は、僧侶に依頼して新たな納骨先で開眼供養を行います。これら一連の流れが終われば、墓じまいは終了です。

墓じまい後の遺骨の供養先

墓じまい後の遺骨の供養先は、以下の4つです。

・近隣のお墓
・永代供養
・散骨
・手元供養

それぞれの選択肢について詳しく解説します。

近隣のお墓

遠方のお墓の管理が困難な理由から墓じまいを選択した場合、自宅近くに新しいお墓を建て、そこに遺骨を納める方法が選択肢に挙げられます。

アクセスの良い場所に新しいお墓を設けることで、継承者の管理が容易になります。これは、特にお墓の継承者がいる場合におすすめの方法です。

永代供養

お墓の継承者不在が墓じまいの理由である場合は、永代供養墓への納骨が選択肢となります。永代供養とは、遺族に代わってお寺や霊園がお墓を管理・供養する方法です。

永代供養墓には、ほかの人の遺骨と一緒に埋葬する合祀墓や、納骨堂、樹木葬などがあります。

散骨

お墓の継承者不在の場合、散骨も有力な選択肢の一つです。散骨とは遺骨を粉末化し、海や山などにまく供養方法です。

海洋散骨を検討している場合は、墓じまいと散骨を組み合わせたサービスを検討してみるとよいでしょう。

詳細は、「ご先祖あんしん海洋散骨パック」をご覧ください。

手元供養

遺骨を手元に置いて供養したい場合や、供養先をゆっくり決めたい場合には「手元供養」がおすすめです。遺骨をミニ骨壺に納めて安置したり、アクセサリーに加工して身に着けたりします。

ただし、自分が遺骨を管理できなくなった場合のことを考えておく必要があります。子や孫に負担をかけないよう、最終的な供養先についても検討しておくことが重要です。

まとめ

墓じまいをする適切なタイミングは個々の事情によって異なりますが、お寺の繁忙期や年末年始、天候が不順な時期は避けることをおすすめします。

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