

2025.02.08
墓じまいの費用の確定申告のやり方とは?控除対象になるケース・相続税控除についても解説
墓じまいを検討している方、またはすでに実施済みの方にとって、墓じまいの費用に関する確定申告や税務上の取り扱いは重要な関心事となります。
特に相続後に墓じまいを行う場合、相続税に対する疑問や不安を抱えることも少なくありません。
この記事では、墓じまいの費用に関する確定申告の基本的な考え方や、控除対象となるケース、相続税との関係性について解説していきます。
墓じまいにかかる費用
墓じまいにかかる費用は、主に以下の5つに分類されます。
・墓石の解体・撤去費用
・閉眼・開眼供養のお布施
・離檀料
・行政手続きにかかる費用
・遺骨の新たな納骨先にかかる費用
それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。
墓石の解体・撤去費用
墓地を返却する際には、墓石を解体・撤去し、更地に戻す必要があります。解体・撤去作業は専門業者に依頼することになるため、一定の費用が発生します。
一般的なお墓の場合、1㎡あたり10万円程度が相場です。ただし、以下の条件によって費用は大きく変動することがあります。
・墓石の量
・墓地へのアクセス状況
・地形の特徴(斜面地など)
・作業スペースの広さ
特に、重機が使用できない場合は人力での作業となるため、標準的な費用よりも高額になる傾向があります。
閉眼・開眼供養のお布施
墓じまいの際には、お墓に宿っている故人の魂を抜く儀式「閉眼供養」を執り行います。この儀式では、お墓の前で僧侶に読経してもらい、お布施を渡します。お布施はあくまでも感謝の気持ちとして渡すもので、決まった金額が定められているわけではありません。
お布施の金額に迷う場合は、直接寺院に問い合わせることをおすすめします。なお、お寺や地域によって多少の違いはありますが、一般的に3〜5万円程度が目安です。
新しい納骨先が別のお墓である場合には、以前のお墓から抜いた魂を新しいお墓に移す儀式「開眼供養」を執り行います。閉眼供養と同様、僧侶に読経をしてもらい、3〜5万円程度のお布施を渡すのが一般的です。
離檀料
寺院墓地の場合、墓じまいは檀家を辞めることを意味します。その際に「離檀料」が発生する場合もあります。本来、離檀料は檀家から寺院への感謝の意を表すものでした。
墓じまいを進める際には、まず寺院に相談しましょう。墓じまいをしなければならない事情を丁寧に説明し、寺院と話し合った上で離檀料の取り扱いを決定します。
寺院によっては具体的な金額を提示される場合や、逆に離檀料が不要なケースもあります。寺院との話し合いがうまくいかずトラブルに発展しそうな場合は、弁護士や墓じまい業者などの専門家に相談することをおすすめします。
行政手続きにかかる費用
墓じまい後に新しいお墓などに納骨する際には、「改葬許可証」が必要です。改葬許可証は、現在のお墓が存在する地域の自治体で申請し、発行を受けます。
「改葬許可証」の申請時には、寺院・霊園など現在の墓地管理者から発行してもらう「埋葬証明書」と、新しい納骨先に発行してもらう「受入証明書」が必要です。
「改葬許可証」の発行手数料は自治体によって異なり、無料の場合もあれば数百円かかる場合もあります。手続き前に自治体のホームページや窓口で確認しておくと安心です。
遺骨の新たな納骨先にかかる費用
お墓から取り出した遺骨を新しい納骨先に移す場合、費用が発生します。主な納骨先の選択肢として、以下が挙げられます。
・一般墓地
・永代供養墓
・納骨堂
・樹木葬
・合祀墓
・散骨
・手元供養
納骨先の選択によって、かかる費用は大きく異なります。通常、一般墓地に新しいお墓を建てる際の費用が、最も高額になる傾向があります。
一方、比較的費用が抑えられる選択肢としては、海や山に遺骨をまく「散骨」や、自宅やアクセサリーの中に遺骨を安置する「手元供養」などが考えられるでしょう。
新しい納骨先を決める際には、家族や親族間で十分に話し合い、希望や予算を考慮して決定することが重要です。
墓じまいの費用は確定申告の控除対象にならないのが基本
基本的に、墓じまいの費用は確定申告で控除対象になりません。特別な事情がなく、「新しいお墓に移したい」「お墓を片付けたい」といった理由だけで墓じまいをする場合は、控除対象外であることを理解しておく必要があります。
【雑損控除】墓じまい費用の確定申告のやり方
墓じまいの費用は、基本的に確定申告で控除対象にはなりません。ただし、特定の事情がある場合には「雑損控除」の対象になる可能性があります。
ここでは、雑損控除が適用されるケースと手続きの進め方について解説します。
墓じまいの費用が雑損控除の対象になるケース
雑損控除とは、確定申告における所得控除の1つです。災害や盗難などで資産に損害を受けた場合に適用できます。
適用の対象となる具体的な損害の原因は、以下のいずれかに該当する場合です。
(1)自然現象による災害:震災、風水害、冷害、雪害、落雷など
(2)人為的な異常災害:火災、火薬類の爆発など
(3)生物による異常災害:害虫などによる被害
(4)盗難
(5)横領
墓じまいの費用については、以下のような場合に雑損控除の対象となる可能性があります。
・地震などの自然災害によって墓が倒壊し、維持が困難になった場合
・墓地の再開発に伴い、墓の移転を余儀なくされた場合
ただし、雑損控除が適用されるかどうかはケースバイケースです。そのため、事前に税理士などの専門家に相談して判断を仰ぐことをおすすめします。
墓じまいの費用を雑損控除にする手続き
墓じまいの費用を雑損控除にするためには、適切な手続きが必要です。事前準備として重要なのは、墓石の解体・撤去費用、閉眼・開眼供養のお布施、離檀料、行政手続き費用、遺骨の新たな納骨先にかかる費用など、墓じまいに関する全ての領収書を整理・保管しておくことです。
次に、災害証明書や墓地管理者からの移転通知書など、墓じまいの理由を示す証明書を準備しておきましょう。書類が準備できたら、雑損控除の計算を行います。
雑損控除の金額は、以下のいずれか多いほうの金額となります。
・(損害金額 + 災害等関連支出の金額 – 保険金等の額) − (総所得金額等 × 10%)
・(災害関連支出の金額 – 保険金等の額) − 5万円
雑損控除の計算結果を基に確定申告書を作成し、税務署へ提出します。初めての申請で不安がある場合は、税理士などの専門家に相談すると安心です。
墓じまいの費用は相続税控除の対象になるのか
家族の死去に伴う墓じまいの場合、その費用は相続税控除の対象となるのでしょうか。
ここからは、墓じまいの費用が原則として相続税控除の対象にならない点や、相続税の課税対象を減らす方法について解説します。
墓じまいの費用は相続税控除の対象にならないのが基本
相続税の課税対象は、「相続財産から債務や葬式費用を差し引いた金額」です。ここでポイントとなるのは、墓じまいの費用が「葬式費用」に含まれるかどうかです。
国税庁によると、以下のような費用が相続財産から控除できる葬式費用として認められています。
(1)葬式や葬送に際し、火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用
(2)遺体や遺骨の回送にかかった費用
(3)葬式の前後に生じた費用で通常葬式にかかせない費用
(4)葬式に当たりお寺などに対して読経料などのお礼をした費用
(5)死体の捜索または死体や遺骨の運搬にかかった費用
これらの中に墓じまいの費用は含まれていません。そのため、墓じまいの費用は相続税控除の対象にならないのが基本です。
墓じまいに際して相続税の課税対象を減らす方法
墓じまいの費用は基本的に相続税控除の対象にならないため、相続税の課税対象を減らすには、生前の対策が必要です。
具体的には、生前に故人が墓じまいを行い、その費用を負担しておく方法があります。生前に墓じまい費用を支払うことで、相続時に財産として扱われる現金を減らし、結果的に相続税の課税対象を減らすことが可能です。
まとめ
墓じまいの費用は確定申告の控除対象にならないのが基本ですが、特定の条件下で雑損控除の対象となる場合があります。
また、墓じまいの費用は原則として相続税控除の対象にもなりません。ただし、生前に故人が費用を負担して墓じまいを行うことで、相続税の課税対象を減らすことが可能です。
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