2024.08.10
浄土真宗の墓じまいの方法|流れや費用などを徹底解説
近年、少子高齢化やライフスタイルの変化により、墓じまいを検討する人が増えています。浄土真宗は、そもそも墓石を必要としない宗派として知られていますが、多様な選択肢が登場したことで、浄土真宗の信者の方でも墓じまいを検討する動きが見受けられるようになりました。
本記事では、浄土真宗における墓じまいの必要性や流れ、費用について解説します。
浄土真宗では閉眼供養を行わない
一般的な墓じまいでは、故人の魂を供養する「閉眼供養」が執り行われます。
しかし、浄土真宗には「閉眼供養」という儀式を執り行う慣習がありません。代わりに「遷座法要(せんざほうよう)」と呼ばれる法要が行われます。
浄土真宗では「この世に生まれたものは全て成仏できる」という考え方があります。これは言い換えると、「故人の魂はすでに極楽浄土へ旅立ち、遺骨は単なる形骸である」という考え方です。
この点は、他の宗派と大きく異なる点と言えます。
浄土真宗の遷座法要とは
閉眼供養は、故人の魂をお墓から抜けさせて極楽浄土へ送り出す儀式です。一方、浄土真宗では、人は亡くなると阿弥陀如来によって極楽浄土へ導かれるとされ、魂がお墓に宿るという考え方がありません。
そのため、浄土真宗では魂を抜く閉眼供養ではなく、お墓の仏様へ感謝の気持ちを表し、新たな旅立ちへ向け供養する「遷座法要」が行われます。
浄土真宗には永代供養がない
多くの仏教宗派では、人は亡くなった後、様々な修行を経て成仏すると考えられています。一方、浄土真宗では「亡くなった直後に成仏し、極楽浄土に行く(即日浄土)」と考えられています。
これは、阿弥陀如来が持つ慈悲の力によって、すべての人が平等に救われるという浄土真宗の核心的な教えに基づく考えです。
つまり、浄土真宗では故人の魂が迷うことはなく、すぐに極楽浄土へ旅立つため、墓じまいや永代供養といった供養は必要ないと考えられています。
浄土真宗で墓じまいをする方法とは
ここからは、浄土真宗で墓じまいをする具体的な方法を紹介します。
菩提寺
菩提寺とは、先祖代々のお墓を管理してくれているお寺のことです。菩提寺がある場合は、墓じまいについて相談してみましょう。
対応が難しいと断られた場合でも、他の相談先を紹介してもらえる可能性があります。菩提寺への相談は、迅速かつ積極的に行うことをおすすめします。
民間霊園
新しいお墓を用意できない場合、民間霊園が一つの選択肢として考えられます。
民間霊園は民間企業が管理・運営する霊園で、公営霊園とは異なり、信仰宗派や居住地などの制限がほとんどありません。
永代供養墓
浄土真宗では、本来「供養」という概念がありません。そのため、寺院墓地のような永代供養墓も存在しないのが一般的です。しかし近年では、宗派にとらわれない多様な供養方法への理解が深まり、永代供養墓を設ける浄土真宗寺院も見受けられます。
永代供養墓は、寺院が管理する合祀墓の一種です。遺骨を他の遺骨と一緒に納骨し、寺院が定期的に供養を行います。継承者に負担がかからず、将来的にお墓参りが難しくなっても適切に管理してもらえます。
浄土真宗の墓じまいの流れ
浄土真宗で墓じまいをする際の流れは、次のとおりです。
・ステップ1.家族や親戚に相談する
・ステップ2.お墓の現状を確認する
・ステップ3.墓じまいを申し入れる
・ステップ4.改葬先を決める
・ステップ5.墓じまいを依頼する
・ステップ6.行政手続きをする
・ステップ7.遷座法要を行う
・ステップ8.墓じまいの工事を行う
各ステップを詳しく解説します。
ステップ1.家族や親戚に相談する
墓じまいは、やり直しがききません。もし今お墓の管理者として悩んでいる場合、まずは家族や親戚とじっくり話し合いましょう。
「新しいお墓を建てたい」「散骨や手元供養など別の供養方法も検討したい」など、さまざまな意見が出てくるかもしれません。
大切なのは、家族や親戚すべての関係者が納得する方向で進められるように、時間をかけて話し合いを重ねることです。
⇛墓じまいの後の供養方法についてはこちらで詳しく解説しています
ステップ2.お墓の現状を確認する
次に、墓じまいを予定しているお墓の状態を確認します。チェック項目は次の3点です。
①お墓に何柱のご遺骨が入っているか
②お墓の大きさや面積
③土葬の有無
円滑な手続きのため、あらかじめお墓の管理者や運営者に確認しておきましょう。
ステップ3.墓じまいを申し入れる
お墓の状況を確認できたら、いよいよお墓の管理者へ墓じまいを申し入れます。
このとき、「相談」という形で丁寧に伝えることが大切です。一方的な意思表示ではなく、墓じまいを検討している理由を具体的に説明し、管理者の意見にも耳を傾けましょう。
説明不足はトラブルの元となります。事前に話す内容を整理し、順序立てて説明するよう心がけましょう。
⇛墓じまいの進め方やトラブル対策などについてはこちらで詳しく解説しています
ステップ4.改葬先を決める
次に、墓じまいで取り出したご遺骨の改葬先を決めます。選択肢としては、別の一般墓や永代供養墓への「改葬」、海や山への「散骨」などがあります。
「お墓の後継者がいない」「遠方でお墓参りできない」という場合は、お墓を持たない散骨がおすすめです。
ステップ5.墓じまいを依頼する
改葬先が決まったら、既存のお墓を撤去する業者を探しましょう。
業者選びでは、複数の業者から見積もりを取得し、費用やサービス内容などを比較したうえで、「ここに任せたい」と思える業者を選ぶことがポイントです。
近年は、墓じまい代行業者を利用する方も増えています。
ステップ6.行政手続きをする
墓じまいでは、役所への申請などいくつかの行政手続きが必要です。スムーズに作業を進めるためにも、早めに準備を進めましょう。
【必要な書類】
・埋葬証明書:現在のお寺や霊園が発行
・受入証明書:次の納骨先(永代供養墓、散骨先など)が発行
・改葬許可申請書:役場で受け取り可能
上記3つの書類を揃えて役所に提出すると、「改葬許可証」が発行されます。
ステップ7.遷座法要を行う
浄土真宗では、閉眼供養の代わりに遷座法要を行います。これは、仏様を新しい場所へ移すための法要です。
墓じまいを決意したら、僧侶と日程を相談しましょう。工事と法要を同日に行うのが理想的です。公営墓地の場合は、管理者にも日程を伝えておきましょう。
立会いを希望する親族にも日程を伝え、時間に余裕を持ったスケジュールを立てておくと安心です。
なお、可能であればお墓の掃除は事前に済ませておき、当日はお供え物を用意する程度にしておくとスムーズに進行できます。
ステップ8.墓じまいの工事を行う
遷座法要が済んだら、いよいよお墓の解体です。石材店や専門業者が墓石の解体や撤去作業を行います。
墓地を更地に戻したら、墓じまいの工事は完了です。
墓じまいは故人とのお別れであると同時に、新たな旅立ちでもあります。ご家族のみなさまで心を込めて、最後までしっかりと見送りましょう。
浄土真宗の墓じまいの費用
浄土真宗の墓じまいでは、主に工事費用と改葬先での費用が発生します。
墓じまいの工事費用
墓石撤去にかかる費用は、1平方メートルあたり10万円が相場です。ただし、以下の場合は費用が増加する可能性があります。
・地盤が弱い
・お墓が山の斜面にある
・石材の種類や加工が複雑
・重機の進入が困難な狭い場所にお墓がある
上記の条件や、お墓の大きさ、地域によって異なりますが、トータルで10万円~30万円程度と考えておくとよいでしょう。
なお、費用を抑えるためには、複数の業者から見積もりを取り、比較検討することが重要です。
遷座法要のお布施代
故人を偲び、新たな旅立ちを見送る遷座法要では、お布施を渡すのが一般的です。閉眼供養に代わる法要となるため、故人への感謝の気持ちを表す大切な機会となります。
お布施の目安は、3万円~10万円程度です。あくまでも目安であり、地域や寺院によって異なる場合があります。
離檀料
檀家をやめる場合は、離檀料をお寺に支払うことがあります。これはお寺への感謝の気持ちを表すもので、支払い義務のあるお金ではありません。
離檀料の相場は10万円~20万円程度ですが、これはあくまでも目安であり、お寺との関係により異なります。
改葬費用
墓じまいの費用の中でも、特に高額になりやすいのが改葬費用です。これは、新たな納骨先を用意するために必要な費用です。
一般的に、改葬費用の相場は5万円〜250万円と言われています。金額の幅が大きい理由は、供養方法によって費用に差が生じるためです。
各供養方法の費用相場は、次のとおりです。
・永代供養墓:5万円〜150万円
・手元供養:数百円~50万円
・一般墓:80万円~250万円
・納骨堂:10万円〜150万円
・樹木葬:20万円〜80万円
・散骨:5万円〜70万円
墓じまいの費用は、供養方法や業者によって大きく異なります。事前にしっかりと情報収集を行い、費用を抑えられる方法を検討しましょう。
浄土真宗の墓じまいで注意したいこと
浄土真宗の墓じまいには、他の宗派とは異なる注意点があります。事前に把握しておくことで、スムーズに手続きを進めることが可能です。
家族や親族から同意を得る
墓じまいは、故人を弔い、家族の未来を考える重要な儀式です。独断で進めてしまうと、のちに家族間でトラブルが発生する可能性があります。
そのため、墓じまいは家族や親族全員の承諾を得てから進めましょう。
遺骨の扱い方や供養の仕方について、人にはそれぞれ異なる考えがあるものです。故人への想いや家族の事情を尊重し、全員が納得できる話し合いをしましょう。
お墓の管理者と話し合う
墓じまいを決定事項として直接寺院に伝えると、不快感を与える可能性があります。
寺院に対しては相談の姿勢を持ち、墓じまいの必要性や背景を丁寧に説明しましょう。
事前に相談せず墓じまいを進めた結果、予期せぬ費用が発生したケースもあります。可能な限り早めに相談し、十分に話し合っておくことが大切です。
参考:実家の「墓じまい」したいのに寺が拒否、離檀料300万円請求も|朝日新聞
まとめ
本記事では、浄土真宗における墓じまいの必要性や、流れ・費用について紹介しました。
浄土真宗では本来「供養」という概念がなく、墓じまいの概念自体が存在しない宗派です。しかし近年では、多様性を尊重する考え方が広がり、墓じまいを選択肢の一つとして検討する動きも見受けられます。
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