2024.12.14
墓じまいのお供えは必要か?お供え物・注意点について解説
お墓参りの際にお供えをする習慣があることは多くの人が知っていますが、いざ墓じまいとなると、お供えが必要かどうか迷う方もいるかもしれません。墓じまいを検討している場合は、お供えに関する基本的な知識を事前に理解しておくとスムーズです。
この記事では、墓じまいの基本的な意味、墓じまいにおけるお供えの重要性、基本となる「五供(ごく/ごくう)」、さらにはお供えに関する注意点について詳しく解説します。
正しい知識を身につけ、墓じまいを行う際の参考にしてみてください。
墓じまいとは?
墓じまいとは、既存のお墓を撤去して更地にし、墓地の管理者へ使用権を返還する行為を指します。
墓じまいは法律に基づいて行う必要があり、自治体の許可を得るなど、決められた手続きが発生します。また、お墓に納められている遺骨を取り出し、新たな供養先を決めることも墓じまいの一環です。
墓じまい後の遺骨の供養先としては、次のような選択肢があります。
・自宅近くのお墓
・永代供養
・散骨
・手元供養
墓じまいを行う際は、各ご家庭の事情に応じた供養先を慎重に選びましょう。
墓じまいの流れ
墓じまいは、以下のような手順に従って進められます。
1.家族や親族と相談する
2.お寺に相談する
3.遺骨の新しい供養先を決める
4.墓じまい業者を決める
5.必要書類を役所に提出する
6.閉眼供養・解体工事を実施する
7.新たな供養先に納骨する(必要に応じて開眼供養を執り行う)
墓じまいにもお供えは必要
墓じまいを行う際には、墓石の解体工事を始める前に「閉眼供養」を執り行うのが一般的です。閉眼供養を行わずに墓石の解体工事を進めてしまうと、親族間でトラブルが発生するケースもあります。事前にご家族やお寺と話し合っておきましょう。
閉眼供養とは「魂抜き」とも呼ばれる儀式で、お墓に宿るご先祖様や故人の魂を抜き、墓石をただの石へと戻す行為です。僧侶に読経を依頼し、焼香を行うことで儀式が進みます。通常、僧侶には感謝の意を込めたお布施を渡します。
閉眼供養には、お供え物が必要です。お墓の掃除を済ませた後、墓前にお供えをし、僧侶に読経してもらいます。通常、お供え物には先祖供養やご本尊への供養といった意味合いが込められています。
ただし、お寺や宗派によってお供え物に対する解釈が異なるケースもあるため、事前にお寺に確認しておくと安心です。
閉眼供養が終わった後、墓石の解体工事のタイミングは当日中と、日を改めて行う場合があります。墓じまい業者と日程調整の上、スケジュールを決定しましょう。
また、新しい供養先として別のお墓を用意する場合、閉眼供養で抜いた魂を新たなお墓に移す「開眼供養」を執り行います。開眼供養の際にも、閉眼供養と同様にお供え物を用意します。
墓じまいのお供えの基本となる「五供」とは
墓じまいのお供えの基本は、「五供(ごく/ごくう)」と呼ばれる以下の5つのお供え物です。
・水
・飲食
・灯明
・供花
・香
宗派によって異なる場合もありますが、墓じまいに限らず、仏式のお供えの基本となるのが五供です。それぞれのお供えが持つ意味や、お供えの方法について解説します。
水
水には、「喉が渇いているご先祖様にきれいな水をお供えする」という意味や「墓石を清める」という意味が込められています。浄水と呼ばれることもあります。
水筒やペットボトルに水道水やミネラルウォーターを用意し、お墓の水鉢に注ぎましょう。ただし、宗派によっては水をお供えしない場合もあるため、確認が必要です。
また、お墓の掃除用の水とは別に浄水を用意しておくのがポイントです。まずは掃除用の水で墓石をきれいにし、その後にお供え用の水を注ぎましょう。
故人の好きだったお酒やジュースをお供えしたい場合は、容器のままお供えすることをおすすめします。
飲食
飲食(おんじき)には、日々の食事があることを感謝し、ご先祖様へ季節の果物やお菓子を供える意味が込められています。故人が好きだったものや精進料理をお供えしてもよいでしょう。なお、仏前にお供えするご飯は「仏飯(ぶっぱん)」と呼ばれることもあります。
お墓に供物台がある場合は、半紙を二つ折りにしたものを敷き、その上に飲食をお供えしましょう。供物台がない場合は、花立の奥側に位置する石材の上に、同様に半紙を敷いてお供えします。
灯明
灯明(灯燭)はロウソクなどで灯した明かりのことで、次のような意味が込められています。
・仏様の智慧と慈悲
・邪気を払う
・故人が歩む、あの世とこの世をつなぐ道を照らす
ロウソクはお墓のロウソク立てに置き、マッチやライターで火を灯しましょう。
ただし、火を消す際は息を吹きかけるのではなく、手で仰いで消すのがマナーです。人間の吐息は不浄とされており、仏様に対して失礼と考えられているためです。
ロウソクは線香に火をつける時にも使いますが、ロウソクを灯すこと自体にも意味があります。そのため、線香に火をつけた後も消さずに、お供えの一環として墓前を離れる時まで灯しておきましょう。
供花
供花には、次のような意味が込められています。
・仏様から慈悲の心を分けていただく
・ご先祖様に感謝の気持ちを伝える
・故人の魂の拠り所とする
ユリ、菊、胡蝶蘭、カーネーションなどが多く用いられますが、故人が好きだった花をお供えしても問題ありません。
ただし、以下のような花は供花に不適切とみなされる可能性があるため、注意しましょう。
・バラなどのトゲのある花:ケガを連想させるほか、参列者がケガをする可能性がある
・椿などの死を連想させる花:花の散り方が、人の首が落ちることを連想させる
・彼岸花、スイセン、スズランなど毒を持つ花:仏様に毒を盛ることを連想させる
・朝顔やクレマチスなどのツルのある花:故人がツルに絡まって成仏できないことを連想させる
・クチナシやキンモクセイなど香りの強い花:線香の香りの妨げになる
ただし、故人が特に好きだった花であれば、供花としてお供えしても構いません。
本数については、伝統的には3本、5本、7本などの奇数がよいとされています。しかし、現代ではそれほど気にする必要はありません。また、色についても3色や5色など奇数がよいとされていますが、これも必須ではありません。
お墓に一対の花立がある場合は、それぞれに同じ本数の花をお供えするようにしましょう。
香
香はお線香を指し、次のような意味が込められています。
・故人の食べ物としてお供えする
・心身を浄化する
・場を清める
・仏様と心を通わせる
お線香は、お墓に設置されている香炉や香立てにお供えします。1~3本を立てるのが一般的ですが、宗派によってさまざまです。
主な宗派の線香の作法は以下の通りです。ただし、地域やお寺の考え方によって異なることもあるため、事前に確認しておきましょう。
・天台宗、真言宗:3本
・浄土宗:1~3本
・浄土真宗:1本(真ん中から2つに折り、横に寝かせる)
・臨済宗、曹洞宗:1本
・日蓮宗:1本または3本
火をつける際は、マッチやライターから直接つけるのではなく、ロウソクに灯した火を用いるのがマナーです。また、線香の火を消す際には息を吹きかけず、手であおぐか線香を振るなどして消しましょう。
墓じまいのお供えに関する注意点
墓じまいのお供えに関する注意点は、以下の3点です。
・お供え物の下に懐紙を敷く
・お供え物は持ち帰る
・生ものや五辛は避ける
それぞれの注意点について詳しく解説します。
お供え物の下に懐紙を敷く
お墓に飲食物をお供えする際は、懐紙や二つ折りにした半紙などの上に載せてお供えするのがマナーです。
和紙などを小さく切る場合には、刃物を使用せず手で丁寧にちぎることが推奨されます。これは、刃物を使うと「縁を切る」という連想につながるためです。
懐紙や半紙を持ち合わせていない場合は、ハンカチなど代用できるものを敷いてお供えしましょう。
お供え物は持ち帰る
墓じまいの際にお供えしたものは、閉眼供養が終わった後、家に持ち帰るのが基本です。特に飲食物の場合は、持ち帰ったお供え物を家族や親族でいただくのが習わしとされています。
これは「共食」と呼ばれる行為であり、ご先祖様や故人が召し上がったものを分かち合うことで、つながりが深まると考えられています。お供え物は捨てずに、感謝の気持を込めていただくようにしましょう。
生ものや五辛は避ける
殺生を連想させる肉や魚などの生ものは、仏教の教えにそぐわないため避けましょう。暑い夏場には傷みやすい、という実用的な問題もあります。
ほかにも、ニンニクやニラ、ネギなどニオイの強い「五辛(ごしん)」と呼ばれる野菜も避けるのがマナーです。五辛は、仏教において怒りや情欲を増すものとして避けられてきました。
まとめ
墓じまいのお供えは、閉眼供養を執り行う際に欠かせない重要な要素です。その基本となるのは「五供」と呼ばれるもので、水、飲食、灯明、供花、香を指します。
それぞれのお供え物が持つ意味を理解した上で、ご先祖様や故人に感謝の気持ちを込めてお供えしましょう。そして、心を込めた供養をもって墓じまいを進めてください。
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